少し前に発表されたCentOSの終了事件(正確には固定リリースのCentOSから、RedHatを少し先行するCentOS Streamへの移行)は、Linux界隈を騒然とさせました。
このショッキングなニュースをきっかけに、現行のCentOSの代わりとなるOSの開発を宣言するプロジェクトが現れ始めました。
まず最初にに名乗りを上げたのがCentOSの共同創設者Gregory Kurtzer氏が立ち上げるRocky Linuxです。
現段階でRHELとのかかわりかたやライフサイクルなどといった詳細は不明ですが、CentOSの設立者が主導しているという点で安心できそうな気がします。
参考元のZDNetの記事ではRocky Linuxは2021年4月ごろに最初のリリースが提供されるのではないかとされています。
「CentOS」に代わる「Rocky Linux」、2021年第2四半期に最初のリリース登場の可能性 – ZDNet
そしてもう一つ、”ポストCentOS”の開発に名乗りを上げたプロジェクトがあります。
それが、今回ご紹介するCloud LinuxのAlmaLinuxです。
CloudLinux、「CentOS」の代替OSは「AlmaLinux」–今四半期リリースへ – ZDNet
CloudLinux社はRHELとCentOSをベースにマルチテナント型のウェブ/サーバーホスティング企業向けにカスタマイズを行った商用ディストリ、”CloudLinux”を提供している企業で、既にCentOSを”リミックス”する技術はあるようです。
そんなCloudLinux社がリリースする予定の、CentOSの代替えとなるAlma Linuxのプロジェクトは、同社の既存技術を利用しながらも、コミュニティ主導で作っていくということだそうで、開発の安定性とオープンソースコミュニティの自由さを生かしたプロジェクトになるとのこと。
Alma LinuxはCentOSからの移行にかかる負担がほぼないように設計される予定とのことで、現状のCentOSユーザーにとっても実際に非常にありがたい存在となりそうです。
既存のCentOSユーザーを救うべく、善意によって立ち上がったこの2つのプロジェクト。役割がかぶるため将来的にシェアの奪い合いをしてしまわないか心配ではありますが、Linuxは設計思想の異なる派生OSが増えた方がよりユーザにとっても選択肢が広がるため、CentOSユーザーにとっては現行のCentOS1本の状態よりもより恩恵が受けられる可能性が高まることも考えられるのではないかと思います。
救世主のごとく現れたこれらの”ポストCentOS”、今後どのようなものが出来上がって、どのようにLinux界隈上で役割を果たしていくのか、楽しみに続報を待ちたいと思います。