Laravel は PHP のフレームワークで認証機能、ルーティング、エラーハンドリング、データベースのモデリングなどなど様々なものが備わっており web サイトや web アプリケーションを作る時に便利です。作ったプログラムの機能や取り扱うものによっては自前でログイン機能を持つ必要があります。また、そういった複雑であったりセキュアなものが要求される案件程 Laravel が用意した認証機能のスカフォールドでは要件を満たせないことが多いです。満たせない部分は主にログイン処理です。ログインしている or していない、やログインしているユーザの情報の参照などは非常に便利でそのまま使いやすいですが、素で用意されているIDを送って password をキーにパスワードを送るのみのログイン機能は使えないことが多いです。そこで認証の真偽を自前で用意して認証結果を Laravel に渡す必要があります。
Laravel では自前でログイン機能を用意するための手引きも多少用意されています。
認証 6.x Laravel#自前のユーザー認証
自前でログイン機能を用意する前に Laravel のログインスカフォールドである \Illuminate\Foundation\Auth\AuthenticatesUsers でサポートしてくれている部分を確認しておく必要があります。セキュリティに完璧な認証機能を作ることは難易度が高く、ログイン機能に限ってもなかなかのものです。
Laravel のログイン機能の肝は次のコードです。この login メソッドに POST でアクセスさせるのがスカフォールドのデフォルトです。
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ログインの前処理として行っているのはバリデーションとアクセス回数制限です。バリデーション抜きにログイン処理を行うのはバグの元となって危険であり、アクセス回数制限を行わないのは総当たり攻撃を受けることになるのでどちらも必要です。ログインの前処理が終わったならばリクエストを元にログインに適したリクエストか否かのチェックと適用をしています。
これを受けてお手製認証機能でログインでき、セキュリティを Laravel 相当に担保したコードが次です。
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バリデーションを独自、ログイン挑戦回数の制限を Laravel そのまま、ログインOKかの判断を独自、ログイン後のユーザ情報を Laravel そのまま、レスポンスを独自、としたコードです。このようにするとスカフォールド、ガード、プロバイダの内部実装を読みつくさなくとも安全で便利な Laravel 上のログイン機能を書けます。