三目並べは〇×ゲームとして知られています。私の地元では〇×ゲームと呼ばれていました。googleで三目並べと検索すれば検索結果画面で三目並べを遊ぶこともできます。お互いが最善の行動をした〇×ゲームが引き分けで終わることは簡単にわかると思います。単純な三目並べの手筋は探索アルゴリズムを考えるより、総当たりをした方が早いぐらいの探索範囲で済みますしね。この記事では三目並べに量子力学の発想を加えた量子三目並べの紹介をします。
量子力学の世界では量子重ね合わせ(複数の状態を同時に持つ。ビットは0と1を同時に取れる)、量子もつれ(他の量子の状態の確定によって他の量子の状態も確定した状態になる)という法則が存在します。量子三目並べはこの量子重ね合わせ、量子もつれらしいものを導入した〇×ゲームです。量子三目並べはQuantum Tic-Tac-Toeというタイトルでiphone、android両方でアプリとしてプレイすることが可能です。石関匠, & 松浦昭洋. (2010). 量子三目並べの必勝法解析.なんて論文もあります。
ルール(wikipediaより引用。図は石関・松浦(2010)より引用)
盤は通常の三目並べと同様に3×3の9つのマスを使用する。マークは先手を○、後手を×として、順に○1、×2、○3、…、×8、○9とする。 |
各手番でプレイヤーは、9つのマスのうちの2つに確定していないマーク(石関・松浦(2010)では量子マークと呼んでいるのでここではこれに倣う)を置く。マークした時点ではこのマークは確定せず、ゲームの進行によって後から確定することになる。量子マークは他の量子マークがすでに置かれているマスにも置くことができる。特例として、○9の手番ですでに他の8マスが確定している場合のみ、残りの1マスを即座に○に確定させる。 |
プレイヤーの新たな量子マークによって、同じ番号の2つずつ量子マークをそれぞれ結んだときに輪ができる状態になったとき(これを「”cyclic entanglement”が発生した」と言う。)、この輪を完成させた方ではない方のプレイヤーが、この輪に関わるマークの確定のしかたを選ぶ。なお、cyclic entanglementが発生したとき、この輪を形成するいずれかの番号の量子マークをどちらかのマスに確定させると、連鎖的にこの輪に関わる全てのマークが確定するため、有りうる確定の結果は2通りである。ここで、「この輪に関わるマーク」とは、直接に輪を形成しているマークのみでなく、ペアのうち一方が輪の上あり、もう一方が輪に関係ないマスにある量子マークのペアも含む(このようなペアの量子マークは、輪に関係ない方のマスに確定する。)。 |
通常の三目並べと同様に、確定した自分のマークを一列に3つ並べたプレイヤーが勝利である。しかし、量子三目並べでは、cyclic entanglementを確定させた結果、先手と後手が同時にラインを完成させる場合がある。この場合は、ラインを形成する確定したマークの番号のそれぞれの最大値を比べて、これが小さい方が優位であるとされる。 |
図3の(b)は7対6で×が勝ちです。このゲームは既に必勝法を解析されてしまいしたが、常人の頭の許容量を超える程度には深く、十分楽しむ余地がありお勧めできるゲームです。余談ですが英語wikipediaの目並べ系項目は異様に充実しています。目並べ研究会でもあるのでしょうか。