アンケートにかかるバイアス

 この記事の話は、アンケートの回答者は本当に知りたい情報の情報源なのかを知ることによってより正確にアンケートを行うことができる、という話です。
 こんな話があります。ある調査会社は固定電話によって次の選挙で誰に投票するか世論調査を行いました。調査結果はAさん、もしくはBさんが当選するだろうと結果を示しました。しかしながら、実際の選挙ではCさんが当選しました。この原因は固定電話による世論調査に応じる人々は有権者のうちわずかであるということです。この話が一昔前の話ならば、固定電話は高価であり、固定電話のみによる調査では有権者のうち富裕層の意見ばかりを集めてしまったのでしょう。この話が最近の話ならば、固定電話を持たない家が増えたため、固定電話のみによる調査では有権者のうちの若年層の意見がぬけてしまったのでしょう。
 この回答者の集団と知りたい対象の集団のずれを疫学では選択バイアスと呼びます。また、母集団(知りたい情報を持つ対象群)から標本(アンケート回答者)を抽出する際にバイアスがかかっている、とも言います。
 選択バイアスがかかったアンケートを試みてしまった場合、前述の例のような失敗が起こることになります。他の例として、動物園や水族館のの出口にのみにただおいてある様なアンケートがあげられます。これは記入が任意かつ無報酬かつ自由な時間を使用させるアンケートになり、とても高い評価やとても低い評価が回答の多くを占めやすいという失敗が起きやすいです。このような失敗が起きる原因はアンケートを書きたいだけの動機がある人ばかりがアンケートを書く、そのような人とは強い感情を持つ人である、強い感情による評価とはとても高い評価ととても低い評価である、ということにあります。
 選択バイアスの対策として層化というものが試みられています。これはありうるであろうバイアスを埋めるように複数の集団からアンケートを取るようにするという方法です。選挙ならば、人種、財産、宗教、地域などなどを別々に分け、それぞれからアンケートを集計し、その結果をまとめるというものです。起きうるバイアスが正しく予想できる場合、この方法によってバイアスを打ち消すことが可能です。しかしながら、この方法は分けた集団がそれなりに大きいサンプル数を含んでいない場合、ランダムな誤差が大きくなるという問題があります。このランダムな誤差とバイアスの誤差のバランスをとるためにも、アンケートの回答者がどのような方々なのか、知りたい情報源となるのはどのような方々なのかを知ることが大切になります。

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