Torの仕組み

よくハッカーが出てくる映画で、「クソッ、複数の海外サーバーを経由されていてアクセス元が特定できない!!!」なんて展開がよく出てくるかと思います。
実際のところ、現実でそんなことが可能なのかと思ってしまいますが、実際に複数のノードを経由することで自分のアクセス元情報を隠して相手サーバーに接続することができる仕組みが存在します。
しかも、それを利用するのに映画に出てくるハッカーのような特別な知識は必要ありません。誰でも利用できます。

この仕組みは”Tor”とよばれています。
名前を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

Torの仕組みはちょっと面白いです。
まず、Torを使ったネットワークでは、デフォルトで必ず3つのノードを経由するようになっています。

匿名通信「Tor」はどういう仕組みなのか分かりやすく解説 – Gigazine

◆リレーのタイプ
デフォルトではTorは3つのリレーを経由することになっています。この3つのリレーはそれぞれ特定の役割を担っています。

・ガードリレー(Guard Relay)
Torネットワークの入り口部分にあるリレーが「エントリー/ガード リレー」です。安定して高帯域を持つと示されたリレーがガードリレーに選ばれます。

・中間リレー(Middle Relay)
「中間リレー」はガードリレーから出口リレーへトラフィックを中継するリレーです。このリレーを配置することで、ガードリレーと出口リレーがお互いの情報を得られないようにしています。

・出口リレー(Exit Relay)
「出口リレー」はTorネットワークの終端にあるもので、その名の通り通信の出口となる部分です。出口リレーが最終的な目的地にトラフィックを送ることになります。

以下の図はTorネットワークでの経路を簡単に示したもの。ユーザー(Client)はTorネットワークの入り口となるガードリレーから中間リレーを経由し出口リレーに到着し、最終的な目的地となるウェブサイトなどに到着するというわけ。もちろんこの経路は複数あるリレーの組合わせなので、一定時間ごとに変更されるようになっています。

ただ、これだけではまだ完全に安全とは言えません。
各ノードに、どのIPのユーザーのデータがどこへルーティングされたかが各ノードに記録される可能性があるためです。

そこで、TorはTorネットワークへ情報を送信する前にデータを暗号化し、さらにノードを経由するごとに多重に暗号化をかけていくことで、どのネットワークからアクセスされたのかを、最終的に把握できないようにしています。
これにより、Torネットワークでは、提供される各中継ノードが信頼できなくてもセキュア性を保てる設計になっています。


Gigazineより引用
一見するとただのアンダーグランドなツールに見えてしまいますが、なぜこんな仕組みが存在しているのでしょうか。
そこには社会的な理由があります。

それは、インターネット上の自由な表現を政治的な検閲や弾圧から守る必要があるからです。
日本に住んでいるとピンとこないですが、国によっては、インターネット上での情報取得や、発言を検閲し、意図的に制限、場合によっては懲罰を行う国があります。
しかし、インターネットは本来的に自由な空間です。誰でも自分の好きな意見を発信し、好きなように表現をすることができます。
そのインターネットに対して、言論の統制を目的とした介入を行う国が、残念ながら出てきてしまいました。

自由な表現を保護するため。自由な発言しても迫害を受けないように保護するため。
Torは自由な思想が認められない国々にいる人々の人権保護に、一役買っているというわけです。

どんな技術も、使い方次第では薬にもなるし、毒にもなります。そしてそれは強力であればあるほど影響力も大きくなります。
Torが強力なのは必然でした。”権力”という、強力な圧力に勝てるだけの物が必要だったからです。

願わくば、Torのような仕組みに頼らなくてもインターネットを安心して自由に楽しめるような世の中になってほしいものですが、現状を見るとその日が来るのはまだまだ先のことなのかもしれません。

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